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未来をつくる家づくりノート⑤-3
第5シーズン 家を建てた、その先の暮らし
第3話
「わが家らしいね。」と言える日は、少しあとからやってきます。
新しい家での暮らしが始まると、
最初はどこか落ち着かないものです。
家具の位置がしっくりこなかったり、
収納の使い方を試行錯誤したり、
新しい生活のリズムに慣れるまで、少し時間がかかります。
でも、それは決して悪いことではありません。
家は、完成したその日から「わが家」になるのではなく、
暮らしを重ねながら、少しずつ「わが家」になっていくものだからです。
少しずつ増えていく「いつもの景色」
以前、お引き渡しから二年ほど経ったご家族のお宅へ伺ったことがありました。
玄関には、お子さんの小さな長靴が並んでいました。
冷蔵庫には、学校から持ち帰った絵が貼られています。
リビングの柱には、毎年書き足している身長の印。
キッチンには、家族で旅行したときのお土産のマグカップ。
引き渡しの日には何もなかった家に、そのご家族だけの景色が少しずつ増えていました。
奥様が笑いながらおっしゃいました。
「最初はモデルハウスみたいにきれいに暮らそうと思っていたんです。」
「でも今は、この生活感が好きなんですよ。」
その言葉を聞いて、思わず笑顔になりました。
「暮らしの跡」が、家を温かくします。
新築の家は、とてもきれいです。
傷もありません。
汚れもありません。
でも、本当に温かい家というのは、
少しずつ暮らしの跡が残っていく家なのかもしれません。
ダイニングテーブルについた小さな傷。
庭に植えた木の成長。
子どもが選んだカーテン。
毎年増えていく家族写真。
それらは「古くなる」のではなく、
家族の時間が積み重なった証です。
だから、完璧な状態を保つことだけを目指さなくてもいいのです。
家も、家族と一緒に成長します。
家族の暮らしは変わっていきます。
子どもが小さい頃。
中学生になった頃。
夫婦二人になった頃。
暮らしが変われば、家の使い方も変わります。
リビングの使い方も変わるでしょう。
庭の過ごし方も変わるでしょう。
家は、その変化を受け止めながら、ご家族と一緒に歩んでいきます。
だから、「完成形」を目指す必要はありません。
その時々の暮らしに合わせて変化していくことが、家の魅力なのだと思います。
わたしたちが面談でお伝えしていること
家づくりでは、
「失敗したくない。」
というお気持ちをよく伺います。
もちろん、その思いは大切です。
でも、住み始めてから、
「こう変えてみよう。」
「この棚を付けてみよう。」
そんな工夫ができることも、家づくりの楽しさです。
家は、一度完成したら終わりではありません。
暮らしに合わせて育てていけることも、大きな魅力なのです。
次回予告
第4話では、「家の価値は、築年数だけでは決まりません。」というテーマでお話しします。
新築だから価値があるのではなく、大切に暮らしてきた時間にも価値があります。
「住まいを育てる」という視点から、一緒に考えていきたいと思います。
家づくりに正解はありません。
でも、ご家族らしい答えはきっとあります。
わたしたちは、その答えを一緒に考えていきたいと思っています。
あなたのおうちの話を聞かせてください。